催眠療法 東京メンタルケア 臨床心理士による催眠療法|提携病院あり

動的催眠について

動的催眠誘導法についてご紹介致します。

お知らせ

紹介文書
「動的催眠誘導技法」インターネット上(非営利学術団体運営)に投稿し、仮掲載されていたもの。
電子ジャーナルJ-STAGE「科学技術情報発信・流通総合システム」に公開予定になっております。(詳しくはメールでお問い合わせ下さい)
臨床心理士の方、或いは公認心理師で臨床経験を2年以上お持ちの方で文書をご覧に なりたい方は、
カウンセラー養成セミナーのページからメールでお気軽にご請求下さい。
*臨床心理士の方は、資格取得時に既に臨床経験を積んでいますので、経験は問いません。
*お知らせ 令和5年12月5日、PDFファイル配布場所のメール通知に変更致しました。   

催眠とは

 催眠とは”眠りを催す”と書くことから、意識がなくならない限り催眠状態に入っていないと誤解されて いる方が多いようです。しかし、催眠とは眠ることではなく、誰もが持っている暗示されやすい性質(被暗示性)を高めていくことで、催 眠という変性意識状態 (精神統一、意識集中、リラックスなど)に誘導していくものです。

 催眠療法家のミルトン・エリクソンは、催眠を次のように例えています。

「孵 卵器(ふらんき)の中で温められている卵はやがてヒヨコにかわる。このようなことは不思議なことではあるが、それは孵卵器がヒヨ コを作り出したのではな く、ただ孵卵器の助けによって、卵の中にある生命過程が、発展していっただけのことである。つまり催眠の操作は、孵卵器の役目を つとめるにすぎない。」

  エリクソンに付け加えるならば、その人が持っている被暗示性を高めることで催眠状態に導き、それを用いて行う心理療法の総称が催眠療 法といえるでしょう。 催眠の中では暗示やイメージの力が活性化され、それを治療的に応用することでこころの問題に対処することができます。また催眠体験に より心身のリラクセー ションが促進され、こころの自然治癒力とも呼べる内的な力が回復されていくのです。

動的催眠とは

 催眠療法は「どこの心理クリニックでも同じやり方なの?」というご質問をよく受けます。催眠の技法は大きく分けて「動的催眠」と 「静的催眠」に分かれます。しかし催眠療法を行う心理クリニックのほとんどは静的催眠だけに頼っているのが現状です。

 その原因は動的催眠の特殊性にあります。動的催眠は、暗示によって誘発される身体のわずかな動きや変化に焦点を当て、よりダイナ ミックな動きを引き出すこと(促進するために、2つの経穴に軽い刺激を加えま す。)によってストレスを解放します。そのため動きにシンクロさせる言葉の選択と高速暗示を瞬時に与えるスピード・タイミングが要求 されます。また一連の素早い姿勢の変化から生み出される催眠深化のテクニックなどの習得にはとても時間がかかります。

 それに対して、静的催眠は動きを誘発させる暗示を与えることはあまりありません。
催眠を受ける人の姿勢もあまり変わらず、ゆっくりした言葉使いで暗示を与えていく場合が比較的多いようです。被暗示性の高い人(催眠 状態に入りやすい人)には手軽にできる誘導法ですが、催眠の深度やストレスの解放などにおいては不十分と言わざるを得ないのです。

 心身の活性化を暗示するという意味では、覚醒状態催眠であり、体動を伴った催眠のため、積極的覚醒状態催眠(現代催眠原論:高石 昇・大谷彰 金剛出版 p148-153)と呼ばれるものに該当します。

特 性催眠の種類 静 的催眠 動的催眠
言葉使い 理性語、ゆっくり単調な暗示を多用 感情語、高速暗示
姿勢 椅子・仰臥(仰向け)姿勢など ヘッドアップ姿勢
素早い姿勢の変化
ストレス解放 弛緩暗示による範囲内の解放 緊張/弛緩の反復暗示により
ダイナミックに解放
リラックス 心理的にリラックスしても身体的には
不十分
心理的・身体的にもリラックス
できる
対象範囲 被暗示性が高い人向けで限定的 従来の催眠法に不適な方にも有効
催眠深度 深い催眠に入る人
15%位
深い催眠に入る人
35%位

  動的催眠の技術の中でもう一つ大事なものは、催眠状態に誘導する際の言葉使い(理性語・感情語)です。理性語と感情語の違いを例えて 言えば、理性語とは社 会の教科書を朗読しているような、あまり抑揚のない一本調子な話し方です。それに対して感情語は、役者が台詞を話すように、強弱を使 い分け「相手の心に響 くような話し方」とでも言えるでしょうか。

 従来の催眠誘導法は、どちらかと言えば感情語の使用を抑制する傾向がありました。しかし動的催 眠では、それをより積極的に活用することで催眠の領域を広げ、新たな催眠療法の可能性を生み出しています。(現代催眠では必ずといっ ていいくらい引用され るミルトン・エリクソンの催眠誘導でも同様な言葉の使い方をしますが、動的催眠誘導ではより身体レベルに近い擬声語・擬態語も多く使 います。)

追記)

なお単に暗示で体が動く催眠を動的催眠と呼ぶのではありません。静的催眠 でも後倒暗示・腕浮揚その他諸々、暗示で体がさまざまに動く現象は数多く体験できます。

動的催眠誘導の実際


初めからビデオのような動きが、出て来るわけではありません。被験者にヘッドアップの姿勢から、体の力を一気に抜いてもらい前に投げ出され ている様子が一見強い動きのように見えますが、被験者の体の力の抜け具合やその日の体調に合わせて無理なく慣れていただくようにしていますの で体験者は意外と心地良いものです。  四肢の動きと共に血行が促され、体の中の疲労物質(乳酸)が洗い流され、肩こりや緊張がより早く取れ、過去に自律訓練法などを他の施設で 習ったり、本を読んで、あるいはCDを聞いて、自己流で練習し実感が得られなかった方々にも比較的楽に実感できるようです。  また催眠の深さは必ずしも悩みの改善に必須なものではありませんが、動的催眠を体験することで催眠状態とはこういうものだなという実感がも たらすある種の満足感が面接を良い方向へ進めていく上での信頼関係強化に役立つようです。  なお動的催眠を希望されない方には従来の誘導法やカウンセリングで対応いたします。
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催眠療法の技法

・暗示療法
カウンセリングの情報をもとにして心の問題解決につながるような暗示を作り、催眠状態の中で暗示をかける技法で催眠療法の中でも ポピュラーなものと言えます。

・メンタルリハーサル
催眠状態の中で苦手な場面をうまくこなしているイメージを繰り返すもので、イメージによる代表的な催眠療法と言えるでしょう。

・年齢退行
俗に退行催眠療法と呼ばれるもので、催眠状態の中で特定の年代に遡り記憶を再生することができます。

・カタルシス法
催眠状態の中で心のブレーキとなっていた感情や思いを話してもらうことで心の解放を促し、問題の解決へと導くことができます。

・自己催眠療法
自己催眠とは自分自身の手によって自分を催眠状態に誘導するもので、代表的な自己催眠療法に自律訓練法があります。

・他者催眠療法
他者催眠療法とは、他人から催眠暗示を受けることで催眠状態に入り心の問題にアプローチする催眠療法です。

・バトンタッチ誘導
一人の被験者を、限られた時間の中で深い催眠状態に誘導しなければならないという状況の下(臨床では使いません、実験研究の場合 等特殊な環境での適応となります)動的催眠誘導者が複数で誘導に携わる催眠誘導法です。

催眠療法への誤解

 俗に「催眠にかかりやすい人は頭が悪い」と言われることがあるようですが、実際にはIQが高い人の方が催眠に入りやすいとい う報告があります。それは催眠状態に入るには、ある程度の集中力や想像力など心の力が必要とされるからです。
また、「何度も催眠にかかるとバカになるのでは…」というのも俗説で、実際には受験生の学力アップや記憶力向上、子どもさんの勉 強嫌いなどの目的で催眠療法を受けている方がとても多いのです。

また、催眠に入ると何でも催眠者の言いなりになって「操り人形のように行動してしまうのではないか」という誤解もよく聞かれま す。催眠に入っても意識はありますので、自分の受け容れたくない暗示には反応することはありません。
テ レビドラマなどで催眠をかけられた人が犯罪を実行するというシーンが放映されることがありますが、催眠状態の方が犯罪を実行する ことはまずありません。万 一、実行することがあった場合は、その方が初めからそれを実行したいという意志を持っていたときに限られると言えるでしょう。

催眠療法とカウンセリング

 「催眠療法とカウンセリングは、どう違うのですか?」というお問い合わせもよくあります。一般に行われるカウンセリングはコ ミュニケーションを中心として傾聴(相談者の話をよく聞くこと)共感、受容、支持など相談者を支える技法が取られることが多いよ うです。

一 方、催眠療法では身体的なアプローチから入ることが多く、身体のコリや緊張をほぐしてリラックスの体験とストレスの解消を目指し ます。その後、催眠状態と いう変性意識状態を用いてカウンセリングしたり、心の分析やイメージトレーニングなど様々な技法を駆使して心の問題解決を行いま す。

 ただ し、実際には催眠療法を受ける場合もセッションの前後にカウンセリングの時間をお取りして、催眠療法とカウンセリングを組み合わ せていくことが基本的なス タイルなっています。つまり、カウンセリングと催眠療法は車の両輪のようなもので、単に催眠に誘導してもらえれば良いというもの では決してありません。

カウンセリングはお話中心の心理療法と言えますが、催眠療法は心だけでなく身体に働きかけることができるというメリットがあ り、身体症状の軽減や緊張緩和など幅広い問題に役立てることができます。

催眠療法の対象とならないケース

 当然のことですがご本人が催眠療法を希望されないケースでは、無理にお勧めすることはありません。心 理療法全般に言えることですがご本人が面接をご希望されない場合、心理療法を受けられてもあまり効果を期待することはできないで しょう。それは心の問題を 解決するためには自分自身の力がとても重要になるからです。

 たとえば不登校の子どもさんが催眠療法を受けた場合でも、そのお子さんが「学 校に行きたくない」という強い意志を持っていれば登校させることは難しいでしょう。しかし、「行きたい意志はあるけど行かれな い」という場合は、心にブ レーキがかかっていることが予想されます。こうしたケースでは、そのブレーキを外すために催眠療法を用いることが効果的だと言え るでしょう。いずれにして も催眠療法はカウンセラーだけの力量でできるものではなく、ご自身の解決しようとする力をサポートするものなのです。

 また、統合失調症な どの特定疾患に罹っている場合は、担当医に相談されることをお勧めします。(担当医の許可があれば催眠療法を受けられる場合もあ ります)また、アルコール や薬物依存症と診断されているケースも催眠療法が適応できない場合がありますので、医師にご相談ください。

 身体症状がある場合は、まず医学的な検査を受けられることをお勧めします。その結果、身体的な疾患や異常が見つからず心理的 な問題や背景が疑われたケースでは催眠療法などの心理療法を受けられるといいでしょう。

催眠療法と投薬との併用

 基本的には催眠療法と薬物療法の併用は可能と言えます。今までのケースでは投薬による治療で思うような効果が現れなかった方で も、催眠療法を併用 することで薬もよく効くようになったケースが少なくありません。これは催眠療法によって心身の緊張がゆるみリラックス状態が促進さ れ、今までと同じ分量の 薬でも緊張の緩和ができるようなったことなどが原因として挙げられるでしょう。

 同様に催眠療法を受けるようになってから睡眠薬が半分の量 で眠れるようになったというお話もよくお聞きします。これも催眠によるリラックスと暗示による効果と言えるかもしれません。逆に催眠 療法を受けながらその 経過の中で投薬を併用し、催眠状態に入り易くなるケースもあります。

但し、薬の種類によっては強い眠りを催すものもあります。催眠状態は一種の精神集中でもありますので眠気によって極端に注意集中が妨 げられる場合は、一度担当の医師にご相談してみるといいでしょう。

 なお催眠療法に限らず、心理療法・心理カウンセリングなどの私設相談室については精神科・心療内科等、医師や医療機関と連携をとる事が 最低限必要とされています。

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